高原の別荘生活考プロローグ

     
 

    
何年か前のことである。
或るとき、行き付けの焼き鳥屋で飲んでいたら、隣で飲んでいた二人連れの客の話題が別荘の話しになったことがある。

その切っ掛けは、二人連れの一人が「おれ別荘が欲しいなア」と言ったためらしい。
「止めときなよ・・・・あんなもの!!」デップリと太った相棒が言った。
「どうして?」デブの相棒のヤセが言った。
「俺の姉貴のダンナが持ってるけど、姉貴に言わせると金喰い虫だって話しだぜ」
「何故?」
「まず第一に、土地だけど・・・・地方と言ったって、やはり土地は高い買い物だ。その次は、建物だけど、最近じゃいくらバブルが弾けたって言ったって、セカンドハウスを建てるには、やはり相当な資金が必要だ!!」
「まあ、そりゃあそうだけど、一度出来ちゃえば後は掛かんないんじゃないの?」
「いや、どうも違うらしいね。放っときゃあ、ベランダは腐る。キツツキが壁に穴を開けちゃう。草はボウボウに生える。ウッカリすりゃあ、寒さで鉄管は破裂するし、薪は高いと・・・言う訳だ。まあ、事ほど左様に別荘の手入れをしたり生活をするのに結構金が掛かるらしいよ」
「ナアルホドネエ」ヤセの相棒はしばし感心の面持ちである。

ヤセが聞いているので、デブは得意気に付け加えた。
「それに、別荘なんか建ってる所なんざ、焼き鳥屋はねえ。パチンコ屋もねえ。温泉町と違ってストリップもねえしよ。おめえなんか、三日ともたねえな・・・・」

「そうか・・・・・・」ヤセは口惜しそうに言った。

僕は、吹き出しそうになるのを我慢していたが、その日以来、「じゃあ、僕の場合、僕にとって、ヒュッテとは何なのだろう?」と考えるようになってしまった。

・・・・そして、早いもので、別荘生活について考え始めてから、三年近くが経ってしまった。が、いまだにその結論は出てきていない。

とは言っても、「石の上にも三年」・・・・・の諺どおり、同じことを三年も考え続けていると、自分なりの別荘論みたいなものが、いつの間にか心の中に培われて来るものらしい。

・・・・別にとりたてて言うほどの事ではないが、自分の考えを纏(まと)めてみるのも、そんなに悪いことでもなさそうなので、以下に、その結果らしきもの纏めてみることにした。

題して「高原の別荘生活考」・・・・一体、どんなものになりますやら・・・・・!!