第二章 別荘の美しさは何で決まるか?

私なりの結論を、ズバリと言ってしまおう。
別荘の美しさは、景色を引き立てる建物のデザインとベランダの美しさで決まるのである。

如何にも神懸かり的で、断定的なものの言い様であるが、残念ながら、現在の私にはこれ以外の言い方が出来ないのである。・・・・「なぜ出来ないか?」・・・・それは、私自身にもよく分らないが、強いて言うならば、それは過去 10 年間「ああでもない」「こうでもない」と考えてきた結果だからではないかと思う。
・・・・と言っただけだは、読者の皆様にはよくお分かり頂けないと思うので、私自身の過去 10 年間の経験を織り込みながら、その理由らしきものを書いてみる事に致しましょう。

私は現在、松原湖高原の別荘地の中で生活を送っている。
土地を購入したのが 1987 年、家を建てたのが 1989 年だから、もうかれこれ10 年近く、このあたりでセカンドハウス・ライフを楽しんで来たことになる。その間、会社勤めをしている間も、年間 3 ケ月近くをこの松原湖高原で過して来たために、色々な別荘を色々な角度から眺めることが可能だったと言うことが出来よう。

外観、色彩、使い勝手、強度、防風、防雪、防苔、日当り・・・等々。
朝な夕なの散歩の折々などにボンヤリとではあるが別荘を眺めているうちに、私は一軒の別荘も実に色々な角度から眺めることが出来ることに気が付いてきた。

それと共に、厳しいひと冬を過ごした経験などにより、「もう一度別荘を建てることがあったら、今度は絶対にこうしよう!!」と思うことが大分溜まってきた。そう言ったことを踏まえて、これから別荘の美しさについて書いてみることにしよう。

景色を引き立てる建物とは・・・・?

さて、別荘の美しさに就いて言えば、
フラリとやって来た素人の絵描きさんが、何んとなく立ち止まり、それからユックリと画材を拡げ、楽しみながら絵を描きたくなるような別荘が・・・・・・あのヘルマン・ヘッセの詩集「放浪」に淡い水彩画で描かれるような、静かで質素な佇まい(たたずまい)の、それでいて豊かな時が屋内で流れているような家や教会・・・・そんな雰囲気をもった別荘が一番素敵な別荘だと、私はおもっている。

・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
今から 7, 8 年ほど前の事であるが、音楽好きの友人の別荘に呼ばれ、静かな秋の午後、友人と2人で別荘地内を散歩した時の事である。
・・・・・・静かな白樺林の中を通って行くと、とても素敵な北欧タイプの別荘が一軒建っていたので
(ああ、感じのいいログハウスだなあ・・・・・!)と思いつつ、その家の前で立ち止まると、後からやって来た友人のSが
「君も、この家が気に入ったみたいだけど、僕も、この別荘が好きなんだよね! ・・・・・・だって、ホラ、見てご覧よ! 白樺林に、この家がホントによく溶け込んでいるじゃないか・・・・・・」などと、話しあったものでした。
・・・・ところがである。
それから 3, 4 年程してから、もう一度、彼の別荘に呼ばれた時に、その別荘の前まで来て見てみると、その別荘のすぐ隣に茅葺き(かやぶき)屋根の新しい別荘が建っていたのである。
でも、その家をみたトタン、僕は思わず
「・・・・・・オヤオヤオヤ・・・・・・!」
と、驚きの声をあげてしまいました。
・・・・・・って言うのは・・・・・・
茅葺き屋根の家というのは、結構お金が高くつくものなのであり、その家自体も、とても素敵な家だったのであるが、いざ以前から建っていた北欧タイプの家と並んで建ってみるのを見ると・・・・・・何か、こう、コーヒーに塩を入れたような、何とも言えず場違いな感想を抱(いだ)かされた気がしたからである。

それは、どういうことかと言うと・・・・・・あとから茅葺き屋根の別荘を建てた人が、前からそこにあった北欧タイプの別荘を含めた景色を何等考慮に入れないで、自分の好みの家を建てたしまったからではないかと思う。

勿論、人がどんな家を建てるかは、全く自由である。
しかし、もし出来うることならば、自分の家が建った時、あたりの景色が以前より美しく感じられるような家を建てたいものである。(1998-05-10 記)

話しは代わるけど・・・・・・・
私の往時の行き付けのバーに、一人のバブル成り金のお金持ちがよく来た事がありました。その彼が身に着けているものと言ったら、どれもこれも一流ブランド品ばかり・・・・!!
金張りの時計に、太い金のネックレース、英国製の高級背広に、イタリア製の高級靴、・・・・・そのほか、彼が見に着けているものと言ったら、大物・小物など全てが非常に値段の高いものばかり・・・ところがである・・・・・彼を少し離れた所から見ると、全体が非常にダサイのである。・・・・・と言うより、彼の持っているものの一つ一つが、みな「俺が、俺が・・・」と言って自己主張しているのである。 だから、彼の傍に行くと、何となくイライラして、疲れてしまうのである。

一方、私の知っているドイツ人の女性は、秋口になるとよく黒っぽいタートルネックのセーターと質素な木製のペンダントだけを身に着けていたが、とてもシックで美しい人がいた。
或るとき、彼女に
「貴女が身に着けているものは、とても素敵ですね・・・・!!」
と言ったところ、彼女の曰く
「着るものには、とても神経を使っているの・・・・!!」
との事であった。
「そんなようにも見えないけど・・・・・」
と、言うと彼女の言葉が素晴らしかった。
「そう言って頂くととても嬉しいわ。私が一番気を使っているのは、着るものと喧嘩をしないことなの・・・・・・・・」

どうです??? この素敵な言葉は・・・・??

もし、別荘を建てるとするならば、絶対にあたりの景色と喧嘩をしたくないものである。

ベランダの美しさについて・・・・

まず何はともあれ、一番最初に 3 枚のスケッチをご覧頂こう。


    写真 1. ヒュッテ新築当時


写真 2. ヒュッテ築後 4 ケ月


写真 3. ヒュッテ築後 3 年    

どうです?
こうやって並べて見ると、ベランダがあると無いとでは、別荘その物が醸(かも)し出す雰囲気が全く違うことが分るでしょう!!

上記の 3 枚のスケッチは、筆者が描いた松原湖高原の自宅「ヒュッテ」であるが、各スケッチの下の解説を補足すると・・・・・・・・

   写真 1. は・・・昭和 63 年 5 月の新築当時のヒュッテで、まだベランダがない状態。
   写真 2. は・・・昭和 63 年夏、最初のベランダが完成した当時のヒュッテ。
   写真 3. は・・・昭和 65 年夏、ベランダの半分だけを、倍の広さに拡幅。

・・・・という事になる。(1998-12-03)


まず、昭和 63 年春の新築当初(写真1)は、観天望気・・・・太陽・月・星・空・雲・風 等を眺めたり感じたりする時は、至極当然の事であるが、全て玄関から履物を履いて外に行かなけりませんでした。


ところが、その年の夏、最初のベランダが出来ると(写真2)、ヒュッテの様相は一変しました。
ベランダの手摺りに寄り掛かって、涼しい風に吹かれたり・・・・頭上の往く雲を目で追い、遥かな友人・知人に思いを駆せたり・・・・夜、色とりどりの星や雄大な星座を眺めては、ロマンチックなギリシャ神話の世界に浸る事が出来るようになったのです。
・・・・これを、僕なりに、ひと言でいうと・・・・小さなヒュッテに大きな解放感が与えられた・・・・と言うことが出来ましょう。
・・・・しかし、このベランダも暫く使ってみると、色々と注文が出てきました。
「ベランダにテーブルセットを出して、お茶を飲んだり、朝食が食べられたりすると素敵よね・・・・・・」と、家内。
「うん、貴女もそう思う?? それは僕も丁度、考えていたとこなんだよね・・・・」
「・・・・そうよ、皆んなでお茶が飲めるようになったら、とてもいいわよ。それに・・・」
「・・・・それに?」
「・・・・将来、パパの大好きな若い女の子が遊びに来たら、絶対喜ぶわよ・・・・!!」
「そうだよなあ・・・・ヨーシ、決り、決り!! ベランダを大きくするぞう・・・・!!」
・・・・という訳で、2年後に、ベランダを拡張することになりました。


ところが、どのように拡張するかが、問題になりましたが、家内と二人で、
「ああでもない」
「こうでもない」
・・・・等々、色々と考えた揚げ句の果てに、ベランダの奥の半分だけを今迄の倍の幅に拡幅することにしたのです(写真3)
・・・・この案は、家内が考えたものですが、ベランダの形に変化があり、楽しいベランダになりました。
さて、このようにして、家族や友人達とお茶や食事を楽しむことが出来るようになったベランダは、今迄のベランダとは大違い・・・・家の中への閉じこもりが、大幅に開放されることになったのです。
・・・・確かに、ベランダを作ると費用が掛かります。
・・・・しかし、楽しいベランダを作ると、その費用以上に大きな解放感があたえられ、外から眺めても、
「明るくて、楽しそうな家だな・・・・!!」
と、思えるようになるのです。

では、ここで、過去 10 年の間に、僕がベランダについて色々と感じてきたことを、写真入りで纏めてみる事に致しましょう。 どうか、最後まで、ユックリとご覧下さいませ!!
・・・・これから、別荘をお建てになる方には、絶対に参考になりますから!(1998-12-05)


1. 色々なベランダ

2. ベランダと屋根の関係

3. ベランダにはどんな材木が適しているか

4. ベランダは腐ることがあります



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