小海町の蝶  第6集
    

小海町の蝶(51)   クモガタヒョウモン

文・写真 八岳晴耕


        
 皆さん、明けましてお目出度うございます。
今年も宜しくお願い致します。
 ところで、昨年の秋のことですが、
アルルのみや書店で本を買って、外に出たところで、
かねて顔見知りの町民の方に出会い、
話をしていたら・・・・
 「最近は、蝶のこと、公民館報に書いてねえようだけど、
止めちまっただかい?」と聞かれて、
「いや、あの八岳晴耕って言うのは僕のペンネームなんです」
って説明しましたが、
(ナルホド、こりゃ〜独り勝手でした!)と反省したので
今号から、本名も併記する事に致しました。

ところで、今回の蝶ですが、
蝶の中には、ヒョウモンチョウという、
猛獣の豹の体の紋様に似た翅をもつ
面白いチョウの一群がいますが、今回のクモガタヒョウモンは、
その中の代表的な種類の一つです。
 どうです・・・・・・?
 翅の紋様が、豹の体のパターンそっくりでしょう?

私達の小海町では、
このクモガタヒョウモンは、
どちらかと言えば、数の少ない蝶ですが、
ご覧の通り、確かに、この町に棲んでいるのです。
この標本の採集日は一九九八年六月二○日。
採集場所は、松原湖からオートキャンプ場に登って
行く山道の途中のチョット林の開けた
明るい草叢だったように記憶しています。
 今年は、このヒョウモンチョウのグループを中心に
紹介をして行く予定です。

(2005-01-01 小海町公民館報 第 401 号に掲載)    

     

     

小海町の蝶(56)  ウラギンシジミ

  文・写真 八岳晴耕

 つい、この間の九月一七日。
北牧小学校の運動会に参観させて頂きましたが、
午前十時過ぎの事です。

元気に飛び跳ねている子供達の間を、
素晴らしい朝の陽光を受けて、
小さく切った銀紙が、風に吹かれたように、
キラキラと舞っていました。

 周りの人達は、
その銀紙に気が付かない様でしたが
筆者は「もしかすると?」と思って、
眼を凝らして、
その銀紙の小片を眼でおいました。

もう間違いありません。
 それは、まぎれもなく秋になると、よく見受けられる
ウラギンシジミでした。

 しかも、あろうことか、その蝶は、
こちらの方に飛んでくると、
筆者が腰掛けていた折りたたみ椅子の
背もたれの所に止まったのです。
勿論・・・・・・
私はソ〜ッと右手をその蝶に近づけると、
親指と人差し指で
静かにその蝶を捕まえました。
 それが、上の写真のウラギンシジミです。

 さて、この蝶の翅の表面には、
橙色と茶褐色の美しい紋様がありますが、
反対の裏側は、
ベタ一面の見事な銀色をしています。
その為に、この蝶は、
ウラギンシジミと呼ばれているのです。

 ところで、この固体は筆者が、
小海町で捕まえた最初のウラギンシジミなのです。
ですから、この標本は
本当に記念すべき標本となってしまいました。
ですから、とても嬉しいです!

(2005-10-25 小海町公民館報 第 406 号に掲載)

   

    

小海町の蝶(57)  アサギマダラ

  文・写真 八岳晴耕

 皆さん・・・・・・、
明けましてお目出度うございます。
本年もよろしくお願い致します。

さて・・・・・・、
去年の晩秋の午後のひと時、
自宅で本を読んでいたら、
居間の電話が鳴ったので、受話器をとり
「ハイ、八岳ですが」と答えると、
西馬流の篠原秀一さんの元気な声が、
受話器一杯に響き渡った。

「八岳さん?今日の午前中、
我が家のコスモスにやって来たアサギマダ
ラを捕まえたんです。
よろしければ、
これから、いらっしゃいませんか?」

このひと言に誘われて、
筆者は、早速山を下り、篠原宅にお邪魔をして
受け取ったのが写真の蝶である。

 アサギマダラは、
開長十一センチ程の大型の蝶で、
前翅はアサギイロ(水色)の地に黒の紋様、
後翅は同じく、
アサギイロの地に茶色の紋様という、
清楚な感じの蝶の為か、
女性のファンが多い蝶である。

 この蝶が
小海町で見られるのは
五月中旬から十月初旬くらい迄ですが、
今年は例年に無く暖かかった為に
写真の固体は、
十月下旬まで・・・・ 
生き延びていたようです。

 更に、この蝶は、
毎年、小海町でも見られますが、
もともとは・・・・・・
南の地方の蝶である為、
初夏に北上して来て、
一時期、小海町に棲み付いて
発生を繰り返しますが、
冬が来ると、寒さの為全てが死に絶え、
翌年の初夏になると、
又、新しい個体群が南の地方から北上して
来るものと思われます。

(2006−01−01 小海町公民館報 第 407 号に掲載)

   

      

小海町の蝶(58)

  スジボソヤマキチョウ

  文・写真 八岳晴耕

 写真の蝶は、今から二七
年ほど前の一九七八年八月
二日に採集したスジボソヤ
マキチョウのオスです。
 スジボソヤマキチョウは
五月・六月の初夏から盛夏
にかけての、明るく開けた
草原で見られるものが多く
その他にも、真夏の午前中
など、稲子の集落から上の
大幹線道路に向かう林道の
水溜りの周辺でも、沢山の
この蝶が大挙して吸水して
いる姿をよく見掛けます。
    (14)


 スジボソヤマキチョウは
ご覧の通り、明るい黄色(
メスは白色)の地に、可愛
らしい橙色の丸い点をポチ
リとあしらった、とてもキ
ュートで素敵な蝶です。
 発生は、五月から六月に
かけての初夏が一回目。そ
のあと七月後半の盛夏以降
に発生するものがが二回目
になります。食樹はクロツ
バラやクロウメモドキです

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 ところで、今回の標本の
採集年月日もそうですが、
どうして採集日や採集地や
採集者の名前が分かるのか
と言いますと、全ての標本
には、この三つのデータを
記入した「標本ラベル」と
呼ばれている小さな紙切れ
(約縦13ミリx横26ミリ)
が付けてあるからで、この
標本ラベルが付いていない
標本は、それがどんなに立
派な標本でも、完全な標本
と言う事が出来ません。
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 ちなみに、筆者が採集し
た標本の中で一番旧いもの
は、今から三七年前の一九
六九年八月二日。佐久甲州
街道沿いで採集した標本達
に付いているものです。
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小海町の蝶(60)

  ヒメシロチョウ

  文・写真 八岳晴耕

 
 何故かは分りませんが、
自然の片隅でヒッソリと生
きている、この蝶が、筆者
は大好きです。若しかする
とこの蝶の生活態度が、筆
者の大好きな良寛禅師によ
く似ているからかもしれま
せん。(8)


 この蝶で印象的なのは、
その飛び方が、勇壮なオオ
ムラサキなどとは全く違い
明るい草原を陽炎(かがろ
う)が立つ様に、弱々しく
飛ぶ事です。
 普段の生活態度が、こん
な風ですから、その生活圏
を示す分布域も自ずと限ら
れてしまい、何処の産地で
も、分布域は極端に狭いの
が特徴的です。
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 筆者が、小海町で、この
蝶と出会ったのは、只一ヶ
所。杉尾の奥の明るい草原
の土手の上でした。
 写真の蝶の採集日は、二
〇〇〇年九月四日。時刻は
午後の三時頃だったでしょ
うか、兎に角、この蝶を見
た時、筆者は、この蝶が、
その産地から絶滅するのが
怖くて、暫くの間、捕ろう
か捕るまいかと、悩んだこ
とをハッキリと覚えていま
す。でも、兎に角、記録だ
けは作って置かなくてはと
思い、止む無く二頭だけを
補虫網に入れたものでした

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 長野県に於ける発生は、
大雑把に言うと、五〜六月
が第一化、七〜八月に第二
化、九〜十月に第三化が発
生。食草は、人里周辺の田
圃の畦などに生えているツ
ルフジバカマやレンリソウ
などのマメ科植物。とにか
く、大切にしたい蝶です。
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