宮川祐治さん:彫刻家。新開在住。


誰だ!奥さんにばかり働かせて・・・・・
    自分はビールばっか飲んでる奴は??

何んと行っても、宮川の旦那の特徴は、おおよそ芸術家らしい雰囲気はコレッパカシも持っていない事である。今年 (1998 年) の夏、松原湖湖畔で開かれたクラフト・フェアで、デジタル・カメラを持って彼の所に行き、
「僕のホームページの "小海町の芸術家" のコーナーに載せたいんだけど・・・・写真をとらして頂けませんか?」と言うと、トボケた顔の旦那はあたりを見回し、近くに誰も居ないのに気が付くとオドロイタ顔になり、突然おおきな声でこう言ったものである。
「え、なに? 俺のこと? ・・・・・駄目だよ、そりゃあ・・・・・俺はゲージツカなんかじゃねえよ! 俺は職人だよ・・・・・」そう言ってから、ハハハハ・・・・と笑った。

なるほど、そう言われてみれば、そんな風に感じられないこともない。
しかし、鼻の下にヒゲをたくわえ、顎にも長めのヒゲなんかを生やらかしちゃうもんだから、その「職人気質」も一種独特な怪しげな表情になっちゃうし、かてて加えて、色メガネ(敢えてサングラスとは言わない。これは矢張り、どう考えても「色メガネ」である)なんかを掛けちゃうもんだから、その「怪しげな表情」も、もう胡散臭い(うさんくさい)としか言い様がない雰囲気を身辺に醸(かも)し出してしまう。


製作者の雰囲気からは程遠い可愛らしい木彫りパズル

だから、筆者八岳晴耕にはどうしても分からないのである。
このような雰囲気をもった怪しげな作者から、「ドノヨウニシテ」上の写真のような可愛らしい「木彫りパズル」が生まれて来るのか?・・・・が!!!!

でも、最近「ハハン・・・・・そうか・・・・・」と分って来たことがある。
・・・・それは、可愛らしさの源泉が全て、奥様の中にあるらしいという事が・・・・である!!

筆者がそれに気付いたのは、例のクラフトフェアの時のことである。
・・・・「やまいも工房」のコーナーを覗いてみたら、旦那は見当たらず、奥様が小さい子供に頼まれて、可愛らしい字を一心にイトノコで切っているところであった。
その時の、奥様の横顔が実に素敵だったのである。


「可愛らしい」と言うか、「あどけない」と言うか、兎に角「天使」とでも言いたくなるような(これは、お世辞ではありません)雰囲気で、その小さな子供のために板切れを切っていたのである。・・・・そして、切り終わった字を「ハイ!」と言って子供に渡した時の雰囲気が、まさに上の写真のオシドリの木彫り細工と同じ雰囲気だったのである。

「そうか、これだ・・・・!!」
その瞬間、筆者は「これこそが、宮川作品の可愛らしさの源泉である!!」と確信したのである。

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ここで、筆者から読者の皆さんに質問です・・・・・・

「奥様が、甲斐甲斐しく小ちゃな子供の為に仕事をしていたこの瞬間に、旦那は何処にいたのでしょうか??」

奥様が仕事をしているのを見守っていた?
機械の手入れをしていた?
奥様が仕事をしやすいように、あたりを片付けていた?

はい、残念でした。これは全て外れ・・・・です。

では、どこにいたかと言うと・・・・・
旦那は、水辺公園の四阿(あずまや)の下のマイクの前で、大きな紙コップのビールを右手に持ち、どうでもいいような事をマイクに向かって、クッチャベッテ(くっ喋って)いたのである。

そして、話しの所々で偉そうに聞こえたりする個所があると、筆者は次のようなひと言を心の中で呟いては「アハハハハハ・・・・・・」と笑ったものである。

   「そんな偉そうな事を奥さんの前で言っちゃっていいのかよ・・・セニョール!」

世の中は、なんて平和なんでしょう。